腰痛

腰痛は多くの人が経験する

腰痛イメージ

日本人の実に84%が人生の中で腰痛を経験すると言われています。
2019年の国民生活基礎調査では、病気やケガによる自覚症状の中で腰痛が男性では第1位、女性では第2位を占めており、多くの方が悩まされる代表的な痛みの1つです。
腰痛は急に痛くなる急性腰痛と3ヵ月以上痛みが続く慢性腰痛に分けられます。

当院で行う腰痛の治療

問診

急に痛くなったのか、3ヵ月以上続く慢性的な痛みなのか。
転倒や中腰の姿勢をした際など痛みが生じたきっかけがあるか。
痛みが生じる姿勢、仕事上の動作 など

診察

腰を前後に倒したり、左右に動かしたりすることで痛みの生じている部位と動作を確認します。
痛みの強い圧痛点を触診します。

画像検査

レントゲン検査、場合によってはCT
MRIが必要と判断した場合は他院に撮影を依頼します。

治療

薬物治療

消炎鎮痛薬から慢性的な腰痛に対応した薬まで一人一人の症状に合わせて選択します。

ハイドロリリース

筋膜が硬くなって生じている腰痛に対しては、超音波装置を使ったハイドロリリースを行い、硬くなった筋膜に潤いを与え、癒着を剥がしていきます。

運動療法

特に慢性的な腰痛に効果的な運動療法を個別リハビリで行います。

物理療法

電気刺激治療、磁気治療、ラジオ波と多くの機器をそろえています。
血流増加、酸素・栄養素供給の改善、筋肉の硬さの改善によって腰痛が軽減します。

骨粗鬆症の治療

DXA法で骨密度を測定し、骨粗鬆症が痛みの一因と判断した場合は骨粗鬆症の治療を併せて行います。

装具療法

背骨の圧迫骨折が原因の場合はオーダーメイドのコルセットを作成します。

エコーガイド下の神経ブロック

臀部から脚の裏側に痛みがある場合は、超音波装置を使って坐骨神経にブロック注射を行います。
*当院は透視装置がないため、神経根ブロックや椎間板ブロックはできません。

当院では腰痛に対して多くの治療が可能です。急に腰痛が起きた場合や、長期間腰痛で悩まされている場合はご相談ください。

腰痛の原因

腰痛が生じる原因部位としては腰の筋肉や筋膜、背骨の骨(椎体)、椎間板、椎間関節などがあります。
疲労の蓄積、悪い姿勢、加齢、炎症、骨のずれなどによってこれらの組織から痛みが生じます。

急に起きる強い腰痛(いわゆるぎっくり腰)
筋損傷、椎間板、腱、靭帯の損傷 など
運動の翌日などに生じる腰痛
筋疲労 など
3ヵ月以上続く慢性腰痛
体幹の筋力低下による筋肉への負担、椎間板の障害、骨のずれによる不安定性 など
転んでから生じた腰痛
椎体圧迫骨折 など
安静にしていても痛みが強い腰痛
腫瘍や感染症、血管や内科の病気 など
これらは早期に精密検査が必要です。
痛みが腰だけではなく、臀部から太もも、さらにふくらはぎに及ぶ場合
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による神経の圧迫など

レントゲンやMRIで原因が分かる腰痛は全体の15%程度と言われています。
レントゲンで分かる原因の一つに椎体圧迫骨折があります。
圧迫骨折と診断された場合は、骨折に対する治療を行います。

レントゲンで原因が特定できない腰痛に関して最近では筋肉や筋膜、椎間関節、椎間板が原因の腰痛が多いことがわかってきています。
どの部位から痛みが発生しているかは、痛みが生じる動きや圧痛点から推測していくことになります。

腰の筋肉に強い圧痛点がある場合は、筋膜にトリガーポイントが発生して痛みの原因となる筋膜性疼痛症候群を起こしていることがあります。
同じ筋肉をずっと使い続けていくことで筋線維に傷がつき、筋膜が硬く癒着して痛みの原因となっているため、ハイドロリリースで癒着を剥がしていくのが効果的です。

また、トリガーポイントに体外衝撃波を当てることも有効です。

急性腰痛

急性腰痛イメージ

主な症状

腰部周囲の激痛、痛みのため腰を曲げ伸ばしできない。

治療

消炎鎮痛薬(NSAIDs)の内服が効果的で、数日の経過で軽快する場合が90%です。
痛みが続く場合でも1ヵ月~1ヵ月半程度の期間で軽快します。

トリガーポイントがはっきりしている場合はハイドロリリースを行うこともあります。補助的に物理療法も行います。

安静を保つよりも、適度に体を動かす方が痛みの改善には良い影響を与えます。
日常生活や仕事においては中腰などの無理な動作をしない、同じ姿勢を続けないことも大切です。

慢性腰痛

主な症状

3ヵ月以上腰全体にだるさや重さ、痛みなどがみられます。

治療

慢性腰痛のための運動療法イメージ

消炎鎮痛薬は痛みを軽くしますが、急性腰痛症に対する鎮痛効果ほどではありません。
慢性腰痛に対する鎮痛薬としてはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、弱オピオイドといった推奨薬があり、痛みの強さや、仕事、生活環境などを考慮して使用します。

慢性腰痛に対しては運動療法推奨され、痛みのある腰だけではなく全身を含めたストレッチや筋力訓練などが効果的です。

また、リハビリテーションでは個別リハビリ以外にも物理療法や器具を使った自主訓練も行います。